野菜栽培Q&A 病害虫
家庭菜園ではなるべく農薬は使いたくないものです。先ずは次に述べるいろいろな対策を講じてください。
① 病害虫のことをよく知る。
① 病害虫のことをよく知る。
- 病害虫の見分け方や性質を知ることは、病害虫防除の第一歩です。写真の豊富な参考書で勉強して下さい。
② 連作を避ける
- 土壌病気が出るようになると同じ野菜の栽培は困難になるので、毎年同じ場所に同じ作物を栽培しないことです。
③ 抵抗性品種を選ぶ
- 品種の中には遺伝的に特定の病気に対する抵抗性を持たせたものがあります。
④ 接木苗の利用
- 抵抗性のある台木に栽培品種の穂木を接木し、特定土壌病害を防ぎます。
⑤ 畑を清潔に保つ
- 病株はもちろん、栽培終了後の古葉なども翌年の病害虫の発生源になるので畑から搬出して下さい。
⑥ 肥料をやり過ぎない
- 肥料、特に窒素をとりすぎると、野菜が軟弱に育ち、病気に対する抵抗性が低下します。
⑦ 密植を避け風通しを良くする
- 風通しが悪いと病気が発生し易くなります。
⑧ 害虫は早めに捕殺
- 面積の小さな家庭菜園では虫を捕殺するのも有効な手段です。果菜類の生長点付近にアブラムシが、葉の裏にダニがつきやすく、ネキリムシやヨトウムシの老齢幼虫は株元の土の中に潜んでいることが多いのでこまめに捕殺します。
⑨ 害虫を寄せ付けない
- シルバーマルチ、シルバーテープの利用でアブラムシ対策
- 防虫ネット(寒冷しゃ、不織布)のトンネル栽培
農薬には病気を防除する「殺菌剤」と害虫を防除する「殺虫剤」、または両者が混合された「殺菌・殺虫剤」があります。次のことに気をつけて農薬を使用してください。
① 希釈倍率(農薬の薄め方)
① 希釈倍率(農薬の薄め方)
- 少量散布であれば、ホームセンターで濃度調整済みのスプレー用農薬を購入すれば便利です。自分で調整する場合は希釈倍率に気を付けてください。間違うと薬害の原因になります。
② 適期防除
- 病気の場合は発生前、害虫 の場合は発生初期に農薬散布をするのが理想的です。家庭菜園で使用する殺菌剤は予防剤が多いので、病気が蔓延してからではなかなか防除は難しくなります。多湿条件で病気は発生しやすくなるので注意が必要です。害虫の幼虫は幼齢が若いほど殺虫効果が大きいので幼虫の発生初期段階での散布が効果的です。毎日、葉の観察が大事です。害虫は一般的に高温、乾燥条件で発生が多くなります。
③ 安全な農薬選定
- 適正に使用すれば全ての農薬が安全ですが、家庭菜園の場合は出来る限り農薬は使用したくないものです。この場合、有機農業でも使用可能で人間に対する安全性の高い農薬を選定してください。ただ、効果はやや劣り、対象病害虫も限られます。
④ 散布時期
- 散布後、半日程度は降雨の心配がなく、風がなく、比較的涼しい時間帯が望ましいです。
(1)アブラムシの有翅虫の飛来を防ぐ方法
① 防虫ネット(網目0.8mm以下)で作物被覆
② シルバーマルチで飛来予防
③ キラキラ輝くテープでで囲む
① 防虫ネット(網目0.8mm以下)で作物被覆
② シルバーマルチで飛来予防
③ キラキラ輝くテープでで囲む
(2)すでに寄生している場合
収穫前日まで使用できる安全な農薬は次のようなものがあります。
① オレート乳剤 100倍
② 粘着くん液剤 100倍
③ バニカマイルドスプレー 原液
④ あめんこ 原液
⑤ ガダンセーフ 原液
⑥ ムシラップ 500倍
⑦ ボタニガードES 1000倍
収穫前日まで使用できる安全な農薬は次のようなものがあります。
① オレート乳剤 100倍
② 粘着くん液剤 100倍
③ バニカマイルドスプレー 原液
④ あめんこ 原液
⑤ ガダンセーフ 原液
⑥ ムシラップ 500倍
⑦ ボタニガードES 1000倍
- 牛乳も不安定ながら効果みられますが、展着剤を加えると効果が上がります。(牛乳500ccに展着剤1cc加える)
アブラムシは世界で3,000種以上、日本でも700種以上生息するといわれています。被害としては作物の栄養を吸汁して生育を悪くしたり、ウイルス病を伝染したり、分泌物で生産物を黒く汚したりします。
吸汁害を受ける主な作物にはキュウリ、ナス、スイートコーン、スイカ、メロン、ピーマンなど、ウイルス病を伝染させられる主な作物にはダイコン、エダマメ、ジャガイモ、キュウリ、ピーマン、ズッキーニなどがあります。
防除対策としては
①有翅虫アブラムシの飛来を防止
・防虫ネットで作物を被覆する
・シルバーマルチ等で飛来防止
・キラキラ輝くテープで囲む
②すでに寄生している場合
・農薬を散布する
・防除は葉裏に薬液がかかるように散布
③収穫前日まで使用できる主な農薬
・オレート液剤 100倍
・粘着くん液剤 100倍
・ベニカマイルドスプレー原液
・あめんこ原液
・ガダンセーフ原液
・ボニタガードES 100倍
・ムシラップ 500倍
同じ作物を連作することで、土壌中にある病原菌(虫)の密度が高まり、作物に障害を与えます。つまり、地上部の病害虫よりも土壌病害虫による被害といえます。
障害発生が常態化すると防除は極めて難しくなりますので、その前に気を付けることは次の通りです。
①数年間は同じ場所に同じ(グループの)作物を栽培しない。(輪作)
②抵抗性品種を選定する。(例:根こぶ病)
③接木苗を利用する。(例:ナス半身萎凋病)
④健全な種子、苗を利用する。(例:ジャガイモそうか病)
⑤土づくりに努める。(排水、土の入れ替え、有機物施用、適正pH保持)
土壌病害虫の予防はQ11の説明どおりです。ここでは地上部の茎葉に発生する病害虫の予防について述べます。
①栽培環境の改善(日当たり、風通し、排水など)
②抵抗性品種の選定(例:べと病、えき病、うどんこ病など)
③マルチや雨よけ栽培(例:べと病、えき病など)
④コンパニオンプランツ(ウリ科とネギ、アブラナ科とパクチーなど)
⑤防虫網(寒冷紗、不織布など)設置
⑥生物農薬(BT剤、ボトキラー水和剤など)
⑦人体への影響が少ない自然派農薬(粘着くん、カダンセーフ、カリグリーン、アーリーセーフなど)
人間に安全な3つの分野で対応を考えてみましょう。
(1)耕種的(栽培方法)防除
○連作を避ける(主に、土壌病害対策)
・ナスの半身萎凋病
・馬鈴しょのそうか病
・アブラナ科の根こぶ病など
○接木苗の利用(主に、土壌病害対策)
・ナスの半身萎凋病など
○健全な種子や苗を使用(種子伝染病対策)
・馬鈴しょそうか病など
(2)物理的防除
○防虫網で被覆(害虫被害予防)
・アブラナ科のアオムシ、ヨトウムシ、コナガなど
○光反射フィルム(シルバー)マルチでアブラムシの忌避
(3)生物的防除
○BT剤(天然微生物利用)の利用
・アブラナ科のアオムシ、ヨトウムシ、コナガなど
(4)自然派農薬(有機農業でも使用可能な農薬・人間に殆ど影響なし)
農薬名 | 目的 | 有効成分 | 対象病害虫 |
粘着くん | 殺虫・殺菌 | でんぷん | アブラムシ・ダニ・うどんこ病 |
ベニカマイルドスプレー | 殺虫・殺菌 | 水あめ | アブラムシ・ダニ・うどんこ病 |
アーリーセーフ | 殺虫・殺菌 | ヤシ油 | アブラムシ・ダニ・うどんこ病 |
カダンセーフ | 殺虫・殺菌 | ヤシ油・でんぷん | アブラムシ・ダニ・うどんこ病 |
バイベニカVスプレー | 殺虫 | 除虫菊 | アオムシ・ケムシ・アブラムシ |
ゼンタリー顆粒水和剤 | 殺虫 | 天然微生物(BT) | アオムシ・ヨトウムシ・コナガ |
カリグリーン | 殺菌 | 食品添加物(かん水) | うどんこ病・灰色カビ病 |
ハーモメイト | 殺菌 | 重曹(ふくらし粉) | うどんこ病・灰色カビ病 |
サンボルドー | 殺菌 | 銅(塩基性塩化銅) | べと病・疫病・斑点細菌病 |
「オルトラン」は浸透移行性殺虫剤として、家庭菜園愛好家にはかなり以前から一般的な農薬です。種類による使い分けを整理してみます。
「オルトラン」には主に次の3種類があります。
①オルトラン粒剤(アセフェート5.0%、顆粒状)
顆粒状なのでパラパラと散布できる。散布対象が少量であれば手間がかからなく、便利です。
一般的には播種時または定植時に施用し、施用後約2ケ月間は農薬の残効が心配されるので、収穫前2ケ月以内の生育期使用は安全のため避けた方が良いです。よって、播種時に施用した場合は間引き菜の利用も控えた方が無難です。
②オルトラン水和剤(アセフェート 50.0%、粉状)
③オルトラン液剤(アセフェート 15%、液状)
水和剤、液剤共に散布対象が多ければ有効な農薬です。使用基準に従い水に希釈して、噴霧器等で散布します。
水和剤と液剤は希釈倍率を守れば効果は変わりませんが、登録の関係で適用作物が異なるので確認した上で選定して下さい。
先ず「木酢液」とは炭を作るときに出る水蒸気や煙を冷やし、液体にしたもので強酸性のものです。使い方とその効能は次のとおりです。
(1) 葉面散布(7~10日おき)
[効果]
・葉面上の有用微生物を増殖し、病原菌を押える効果。(殺菌剤ではない)
[方法]
・500培~1,000培に薄めて定期散布する。(朝夕散布)
・石けんなどの展着剤は必要なし。(浸透性が高いので)
・希釈は散布直前にし、使い切る。(微生物、紫外線で成分変化)
(2)土壌散布(15日おき)
[効果]
・土壌中の有用微生物を増殖し、土壌病原菌の繁殖を抑える。
・作物の土壌養分の吸収がよくなる。
[方法]
・1,000培~2,000培に薄めて水やりを兼ねて散布する。
・種まき・定植前から根が良く伸びる生育中期が効果的。
(3)土壌消毒 (作付け前)
[効果]
・青枯病や根こぶ病などの土壌病原菌の抑制
(散布後発生する一酸化炭素による)
[方法]
・20培液の場合2ℓ/㎡、原液の場合100cc/㎡散布
・散布後乾く前に土を耕し、一週間ビニールマルチで被覆。